ボーナスの手取り額を計算する:所得税と社会保険の控除率を理解する
TOC 結論: ボーナスの手取りは額面の75〜80%前後。社会保険料と源泉所得税の合計が主な原因。 支給日の明細を見て「こんなに引かれるの?」と感じた経験は珍しくないでしょう。 ボーナスには毎月の給与と同じように社会保険料が引かれ、さらに専用の計算式で源泉所得税が差し引かれます。 仕組みを知っておけば、年末調整後の還付…
- ボーナスから差し引かれる3つの項目
- 社会保険料の計算:「標準賞与額」が起点になる
- 源泉所得税の計算:「前月の給与」が基準になる特殊ルール
- 実例シミュレーション:額面50万円のボーナスの場合
- 年末調整で戻ってくるお金の見込みを立てる
- ふるさと納税の上限額との関係
- 自分でボーナス手取りを試算する手順
- FAQ
結論: ボーナスの手取りは額面の75〜80%前後。社会保険料と源泉所得税の合計が主な原因。
支給日の明細を見て「こんなに引かれるの?」と感じた経験は珍しくないでしょう。 ボーナスには毎月の給与と同じように社会保険料が引かれ、さらに専用の計算式で源泉所得税が差し引かれます。 仕組みを知っておけば、年末調整後の還付見込みや、ふるさと納税の上限額を読むときにも役立ちます。
ボーナスから差し引かれる3つの項目
毎月の給与明細と同じ構造ですが、ボーナスには固有のルールが加わります。 控除されるのは大きく三つです。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 源泉所得税
雇用保険料も差し引かれますが、2026年4月時点の雇用保険料率は一般の事業で労働者負担が0.6%と小さいため、手取りへの影響は軽微です。 住民税はボーナスから直接徴収されないのがポイントで、前年所得に基づいて毎月の給与から天引きされる形になっています。
社会保険料の計算:「標準賞与額」が起点になる
社会保険料の計算は、実際の支給額ではなく標準賞与額から始まります。 千円未満を切り捨てた額が標準賞与額で、この数字に料率を掛けます。
| 項目 | 計算の基礎 | 2026年4月時点の労働者負担率 |
|---|---|---|
| 健康保険料(協会けんぽ、東京) | 標準賞与額 | 4.985% |
| 厚生年金保険料 | 標準賞与額 | 9.15% |
| 雇用保険料 | 実際の支給額 | 0.6% |
2026年4月時点、協会けんぽ東京支部の健康保険料率は労使合計9.97%で、労働者負担はその半分の4.985%です(協会けんぽ 東京支部 料率一覧)。 厚生年金保険料率は日本年金機構が公表する18.3%(労使合計)の半分、9.15%が本人負担分です。
上限額に注意
標準賞与額には上限があります。 健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1回あたり150万円が上限です(2026年4月時点)。 高額なボーナスを受け取る方はこの上限で頭打ちになるため、実際の控除額はシンプルな掛け算より低くなる場合があります。
源泉所得税の計算:「前月の給与」が基準になる特殊ルール
ここが最も誤解されやすい部分です。 ボーナスの源泉所得税は「ボーナス額に税率をかける」のではなく、前月の給与を基準にした特殊な計算式を使います。
計算の手順は次の通りです。
- 前月の社会保険料控除後の給与を確認する
- 国税庁が公表する「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で該当する扶養人数の行を見つける
- その行に記載された算出率をボーナスの社会保険料控除後の額に掛ける
たとえば前月給与(社保控除後)が35万円で扶養ゼロの場合、算出率の表には**20.42%**という数字が出てきます。これをそのまま社保控除後のボーナス額に掛けた値が源泉所得税です。
「ボーナス月だけ税率が高い」は誤解です。前月給与が基準なので、給与が上がるほど算出率も上がるという設計になっています。
最初は「ボーナスは特別に高い税率をかけられている」と思っていました。しかし実際には、月次の給与水準に連動して算出率が決まる仕組みで、むしろ公平な設計と言えます。
実例シミュレーション:額面50万円のボーナスの場合
条件を次のように設定します。
- 額面ボーナス: 500,000円
- 健康保険: 協会けんぽ東京、料率4.985%(労働者負担)
- 前月給与(社保控除後): 320,000円、扶養ゼロ
| 控除項目 | 計算式 | 控除額 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 500,000円 × 4.985% | 24,925円 |
| 厚生年金保険料 | 500,000円 × 9.15% | 45,750円 |
| 雇用保険料 | 500,000円 × 0.6% | 3,000円 |
| 源泉所得税 | (500,000−73,675円) × 20.42% | 約87,082円 |
| 合計控除 | 約160,757円 | |
| 手取り(概算) | 約339,243円 |
手取り率は約67.8%。社会保険料だけで約14.7%、源泉所得税が約17.4%を占めます。 なお、源泉所得税は年末調整で精算されるため、最終的な負担額は変わる可能性があります。
給与明細の控除項目について基本から確認したい場合は、給与明細の控除項目を読む:社会保険料と税金の仕組みも参照してください。同じ仕組みがボーナスにも応用されています。
年末調整で戻ってくるお金の見込みを立てる
源泉所得税はあくまで概算の先払いです。 年末調整で1年間の正確な税額を確定し、過払い分が還付されます。
還付が多くなりやすいパターンは次の通りです。
- 年の途中で給与が下がった
- 生命保険料控除・地震保険料控除を申請した
- 住宅ローン控除(2年目以降)を受けている
反対に、ボーナスが予想より大きく増えた年は追徴になることもある点は頭に置いておきましょう。
ふるさと納税の上限額との関係
余談ですが、ボーナスの計算を把握するともう一つ得することがあります。 ふるさと納税の控除上限は年収に応じて変わるため、ボーナスが例年より多かった年は上限額も引き上がります。
総務省のふるさと納税ポータルサイトでは目安額を計算できますが、ボーナスの見込みを含めた年収ベースで入力するとより正確な数字が出ます。 年末に慌てないよう、支給後に上限の再計算をしておくのが実用的です。
自分でボーナス手取りを試算する手順
次の4ステップで試算できます。
- 前月の給与明細を用意し、社会保険料控除後の手取りを確認する
- ボーナス額面から社会保険料(健保4.985% + 厚年9.15% + 雇保0.6%)を引く
- 国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で前月給与・扶養人数に対応する算出率を調べる
- ステップ2の残額 × 算出率 = 源泉所得税。元の額面から社保+所得税をまとめて引いたものが概算手取り
ステップ3の算出率の表は国税庁のWebサイトから無料で入手できます。ブックマークしておくと毎回の検索が省けます。
FAQ
Q. ボーナスから住民税は引かれますか? A. 引かれません。住民税は前年の所得をもとに計算され、毎月の給与から均等に12分割で天引きされます。ボーナスは住民税の対象にはなりますが、直接差し引かれるタイミングはありません。
Q. 前月給与が高い月にボーナスをもらうと損ですか? A. 源泉所得税の算出率は前月給与で決まるため、前月給与が高いほど算出率は上がります。ただし源泉税は概算の先払いで、年末調整で精算されます。年間の税額自体は変わらないため、タイミングで損得は生まれません。
Q. 賞与の社会保険料に上限はありますか? A. あります。2026年4月時点では、健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1回あたり150万円が標準賞与額の上限です。上限を超えた分には保険料がかかりません。
Q. 産休・育休中にボーナスをもらった場合はどうなりますか? A. 産前産後休業・育児休業期間中は社会保険料が免除されるため、ボーナスからも社会保険料が引かれません。所得税については通常通り課税されますが、所得が低くなっている場合は年末調整で還付が生じやすくなります。
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